辺りは暗く、静かだった
見渡しても誰も居ず、声を発しても響くだろう声は響かない
此処は何処なのだろう。思案しても思い浮かびはしない
けれど、ルークは考えた。
必死に
暗い
何も見えない
音も無い
何も、存在しない
自分自身がまるで何処にも居ない
そんな感覚
確かに、今、生きているのに
そうまるで死んでいるような・・・・・
そん考えた瞬間だった
「そうだ。死んでしまった」
聞こえなかったはずの声が聞こえる
まるで、呪詛を吐いているかのように、その声は低く澱んでいた
「死にたくなど、なかった」
なんだ、これは。どうして、こんな声が聞こえる
澱んでいた筈の声が徐々に、高い子供のそれに変わっていく
「とても苦しかったんだ」
そんな事を言われても、俺にはどうしようも出来ない
「助けてって言ったのに」
何だ、これっ・・・そんなまさか!!!
嘘だ!嘘だ!!!
「僕、お兄ちゃんに殺された」
必死に耳を塞いだ。でも、声は脳髄に響き渡るように聞こえ続ける
「ねぇ、どうして僕死ななきゃいけなかったの?」
体が震える。この体の震えを押さえてしまいたいのに、それが出来ない。
耳を塞いでいる手を離してしまったら、直ぐ傍でこの声が聞こえてきそうで
「痛いよぉ」
判ってはいたけど、これは俺の殺した人達の声だ
ごめんなさい。ごめんなさいと必死に謝る
「ごめんなさい。ごめんなさいっ!!!」
歯はガチガチと鳴り、体の震えも更に酷くなる
認識はしていた。自分の罪がどれほどのモノなのか
でも、それは認識であって、自覚ではなかった
深く、深く。
それは絶望にも似たもので
強く締め付けて二度と離れていかない位、強固な罪の
大きさを俺に示すみたいに
そう
俺の犯した罪は、自身の命でも償う事なんて、出来ない程強大だった
判っていたはずなのに
判っていたけれど
許してください
それしか、言える言葉なんて無かった