殺す。殺す。殺す・・・・!!!

じゃないと、俺が殺される。これで、良いんだ・・・・








これで、終わった。これで、生きる事が出来た。
辺りを見渡すと、赤一色だった。赤の中に、幾つもの屍。


『この人達を、・・・・俺が・・・・殺した』



命を狙われている。そんな事判っていた。何人もの人を殺したのだ。恨まれて当然だった。
でも、今、死ぬ訳にはいかない。
俺には、為すべき事があるのだ。








何人もの血を浴びて、白かった上着も全て赤で染まっていた。
この色は、俺の罪だ。






笑うしかなかった。あんなにも恐れて、手を掛ける事に怯えていたのに。
自分の命を守る為に、進んで殺した。


髪も、何もかもが、赤で染められて・・・



怯えていたくせに、殺すことを選んで・・・・
殺すことに躊躇なんてしなかった。








「ルー・・・ク??」


あぁ、ガイが俺を呼んでいる。この状況に戸惑っているのだろうか。声には驚きが混じっている。





そうだ、ガイ。嫌になれば良い。愕然とすれば良い。


これが、俺なんだ。



口角を上げ、笑みを作る。


まるで、殺す事を楽しんでいる様に見えれば、良い・・・・
そしたら、お前は俺を容赦なく殺す事を選べるだろう。









もう、傍に居ないのだろうか。何も、聞こえない。
この有様に、厭きれたのだろうか、それとも直ぐ傍で剣を抜いてこちらを睨んでいるのだろうか。

確認しようと思っても、振り向く気力さえ、無い。


『・・・居ても、もう構わないや』





この赤が広がった場所で、罪で染められた場所で跪く
重い体をどうにか動かそうとする。

何人も殺したこの体は案の定疲れきっていた。でも、どうにか残り余った力を総動員して



手を組み、目を閉じ祈る。


『・・・・・ごめんなさい。命を奪ってしまって。生きる事を取り上げてしまって・・・ごめんなさい。死を与えてしまって、ごめんなさい。』






殺して・・・・ごめんなさい・・・・・








頬を何かが伝う。

目頭が熱いなんて、どういう事なんだろう。
鼻の奥がツンとして、痛い。


『泣いてるのかな、俺』


うっすらと、目を開け地を見つめる

落ちては、弾ける。





地面には一面の赤





流す涙すら、赤いなんて
これは、罪の証だ