ぐちゃっ
辺り一面に広がるのは彼よりも、色濃く鮮やかな赤。
血溜りの中で恍惚とした表情を浮かべているのは
『レプリカと謳われた青年』
「ルー・・・ク??」
どういう事だろう。ルークはあんなにも人を殺すことを恐れていたのに、その手が血で染まっていく事に
慣れてはいなかった筈なのに
今、俺の目の前に居るのは、誰だ。
ルークの着ていた白い服も全て、血で染まり見る影も無い
そう、その様は、破壊を齎す使者
この世に絶望した神に遣わされた者。破滅だけの為に創られ、その為だけに生きる殺戮者の様だ
いや、違う。ルークはそんな奴じゃない。
そうだ、ルークは優しくて、我侭で、少し馬鹿で・・・・殺すことに、いつも・・・怯えていたじゃないか。
血溜りに佇んでいたルークは、頭を垂れその場に跪き指と指を重ね合わる
ポタリポタリと、髪から頬から、赤が流れる
その色が、赤で無ければ、泣いている様に見えたのに。
けれど、彼が纏うのは、幾人の血液。
彼が受けたのは、殺される者の慟哭
彼が与えたのは、計りしれない恐怖
鉄と、生臭い匂いが漂う中で、誰もが、顔を顰めるだろうその場所で。
それでも、ルークは祈るのだ。
恍惚とした笑顔に赤の涙を流して
殺戮者の祈りはまるで・・・
誰も、気付かない叫び声。