じわりじわりと、締め付けられるこの指の感覚を、リアルに感じる
どうして、目の前の彼は、自分の首に手を掛けているのか?そんな疑問や
「あぁ、やっぱりそうだったのか。」なんて確信めいたなにかだとかが、ごちゃごちゃに混ざり合う。



そんな事を考えていても、確実に苦しさは増して
息をしようと、口を開いてみるけれど余りにも頼りない自分の喉が奏でる音しか、聞こえなかった。





苦しさに、生理的な涙が浮かぶ






視界が揺らめいて、目の前の彼の姿も同じ様に揺れる



それはまるで水面に浮いて揺れる捉えられない自分の影の様に





彼の姿を揺らめいて滲ませる






彼の、憎しみは知っている。知っているからこそ、いまこの状態を甘んじているのだけれど



目の前の彼が、泣いているから
本当は手放してしまいたい意識を、俺は途絶えさせる事が出来なかった










その涙を拭うのは、他の誰でもない、俺でなければいけない。




(俺だけが、お前に触れる事が出来るんだから)




子供染みた独占欲か、それとは違う何かか



苦しさに遠のく意識の、途切れそうになる景色を無理にこじ開けて


だらり、とただ放り出されて、何もしないでいた手を持ち上げ
彼の頬に緩慢な動作で手を添え涙に濡れる下瞼をなぞる





触れる手に怯えたような顔をした彼の顔が、一瞬見えた様な気がする

彼が、怯えているのは俺か、それとも自分自身か




ちゃんと、判りたいのに調べる術は無い。
今や視界は暗転しそうなのだ









彼を抱きしめてやる事の出来ない不甲斐なさに、襲ってくるのは強烈なほどの自己嫌悪

(後、もう少し、だけでも)




彼の顔を見ていたい





でも













感覚が、沈む意識が、落ちていく瞼が


最期の瞬間を見ることすら許してはくれない



痺れる腕では頬を撫ぜる事も、もう叶わない




まるで時間を巻き戻したみたいに同じ光景



泣いて俺の首に手を添える彼に、だらしなく放り出された俺の腕











(泣かないで、泣かないで)


(俺を殺すときくらい笑えよ、馬鹿)







お前が唯一解放される手段なんだ
狂気じみた笑顔を浮かべて
・・・・そう、俺の首を締め上げて





ほら、途切れるその瞬間を目に焼き付けるんだ












あぁ、困ったな。泣かないでくれ!
君が心配で・・・
逝けないじゃないか

動かない体に、冷たくなっていく体に彼はそっと・・・・数え切れない程のキスを送る




























メモ

・・・やっちゃった(愕然)
強烈にこの泣きながら誰かさん(判るでしょうが)が誰かを殺してしまう
シーンが浮かびましたので速攻で打ちました。


パラレル?になるんですかね。これ。