「あの二人、とても仲が良くなったようですわね」
「そう、みたいだな」
こんな世間話みたいな遣り取りに、心を痛める日が訪れるとは、考えてもみなかった
あぁ、もう叶わないんだ
胸に広がる静かな湖面に、一石を投じたみたいに
波紋が静かに広がる。
小さな、小さな波でも
大きな変化を齎す事はあるんだよな
(切ないって、こんな感じか・・・)
「ん?何かあったか?」
「・・・?あぁ?何だよ。話しかけんな。今、瞑想中ってやつだから」
なんだそれ。そう笑って当たり前のように、俺の隣に座る
その当たり前だった事が、また俺の心にまた波紋を広げていく
知らず知らずに、溜息が零れた
「本当に、どうしたんだ?」
お前のせいだよ。馬鹿。
そう言ってやりたいのに
口に出してしまったら、お前とあいつの事を認めてしまう気がして言えなかった
「ちょっと、嫌気が差したんだよ。熱くって死にそうだ。」
存外に含んだ意味を込めて言ってやったけれど、言葉の通りに捉えたお前は、
この頃暑いからなぁ・・・なんて暢気に、答える
(その暑いじゃねぇよ・・・)
こんな遣り取りがまだ出来るなんて、俺は大人になったんじゃないか?
こんな形で大人になったかもしれないなんて、知るのはなんだか、嫌だけど
我慢をする事が出来るようになったのは、最大の進歩だ。
あぁ、でも。
この渦巻く想いを我慢するのはとても辛い。
お前を諦めたつもりで、諦めきれないこの気持ちに
お前達が互いに向ける熱い視線に気付いて、傷む心に
(俺はそんなお前達を見るだけで、逃げ出したくなるというのに!!)
頼むから俺の居ないところでしてくれ。そう、考えてみるけれど
それはそれで、辛い
俺の見えないところで、愛を囁きあってるなんて、考えたくない
でも、俺が居る場所で、二人の仲睦まじい姿なんて、見たくない
結局は、堂々巡りだ
辿り着く場所は、一緒。
それは、嫉妬で有り、思慕でも有る。
「はぁ・・・・」
辛さを逃す様に、息を吐く。
癖になったらどうすんだよ。
「・・・溜息なんてつくなよ。幸せ逃げちまうぞ?」
「そうだなぁ・・・」
まぁ、そんなに深く考えるなよ!そう爽やかにお前は言って
立ち上がり、俺から離れていく
(お前が行く場所は、あいつの所・・・か)
俺の傍を離れて、思い人が居る場所に向かうお前の後ろ姿を見つめる
知ってしまうだけでこんなに切ないなんて。
一体、俺はどれだけお前が好きなんだ
「・・・馬鹿だなぁガイ。幸せなんて、気付いた時から無いんだよ」
「判ってる。でも、判りたくないんだ」
俺のことなら、何でも知ってるだなんて、嘘だ!!
メモ
ちょっと、切ないなぁって事が私生活あったので書いてみました。
乙女ルーク・・・?に鈍感害・・・いえ、ガイ・セシル。
好きな人に好きな人が居るって結構・・いやかなり切ないよね!!
・・・・切ない感じ出てたらいいなぁ。