「疲れた・・・」
毎日毎日、殺し続けて
皆の顔色を伺って
「・・・・疲れたな・・・」
皆の前では、傲慢なふりして
それでも、正直疲れるのだ。
俺の居たあの環境では起きない出来事
俺の周りには存在しなかった、人々
何もかもが、異物で、この気持ち悪さをどうにかしたかったけれど
どうにも出来ない
誰も居ない場所で、独りになっていつも考える
どうして、俺にこんな運命を与えたのかと
俺は、アクゼリュスで死ぬ。なら、この出会いも必要ないのだ
だって、別れが辛くなる。
初めて出会った外の人間。
本当は・・・・もっと聞きたいことだって、喋りたい事だって一杯あるんだ。
でも、それを許さない
誰かがじゃなく、自分自身が許さない
何も知らないで居るならその方が良い
俺は死ななければいけないのだ。そう、それを望まれてるんだから
(死ぬこの命に、新たな知識なんて必要ない)
死ぬ事を望まれているのに、俺はその為だけに生きているのに
彼等の事をこれ以上知ってしまったら、どうすれば良い。
きっと、きっと・・・後悔してしまう。最後の一歩を踏み出す事が出来なくなる
ガイが居てくれた。師匠が居てくれた。俺は、それだけで、幸せなのだ。
死の足音は確実に迫っている。
親善大使として
人を助けるという名目で
そして、俺は何かと引き換えに、死ぬのだろう。
それは、誰かの命を助ける為かもしれない。
溢れ出している瘴気の為かもしれない。
「大丈夫・・・大丈夫。俺は、やれる。」
自分に言い聞かせる言葉を紡ぐ。
人を殺す時も紡いで
自分が為すべき事の恐ろしさを紛れさす為に紡いで
自分を、必死に守るのだ
「ガイにも、会えた。師匠にも会えた。・・・それだけで、十分なんだ」
そうだ。それなのに、なんで、あいつらの顔が浮かぶんだろう
彼等は、俺の事を良くは思っていない。
今では、ガイも・・・その一員なのかもしれない。
でも、それでいいのかもしれない。
もうすぐ死ぬ人間だ。悲しむ人なんて居ない方が良い。
失う事はとても、辛い事だといつかガイに聞いた事がある。
悲しむ人なんて俺には、要らない。
そう思っていながらも、心のどこかで悲しんでくれる人が居て欲しいと願っているのだ。
「矛盾してんなぁ・・・」
頭を抱えてつぶやく。長い髪が指の隙間からさらさらと零れて
流れる
下げた、頭を上げて遠くで談笑する彼等を見つめる。
ちらちら横切る朱色の髪が鬱陶しい。
眩しい光を見るようにして、彼等の姿を目に焼き付ける
どうして、そんな事をしてるのかなんて思考を、一切無視して
あと、もう少し。
そう、あともう少し。
このどうにもならない纏ままらない思考とも、どうしようもない感情とも
「もうすぐサヨナラだ」
死ぬことはなんでもないが
この世と別れるのが
僕には辛い
このルークは師匠に逃げようと、言われつつも本気にしてない。
そう達観ルーク!!預言の事は知ってるんですね、このルークは。
逃げようって言われてても
「あぁ、師匠何も知らないんだ・・・でも嬉しいな。逃げようっていってくれるなんて」みたいな
そして、豹変するヴァン!!唖然ルークみたいな。
あのときのヴァン思い出すだけでハンカチを噛み切りたくなります。
達観ルークだけど、汚れちまった〜とはまた別もの。
あっちは少し黒い予兆が見えてたけども、こちらは白いまま・・・だと思います。