ガイと呼びながら、触れてくるその手の温もりを
ガイと笑いながら呼びかけてくれるその声を
ガイと泣きながらも手を差し出さないお前のその瞳を
俺は、忘れる事が出来ない
ローレライを解放すると一人残って、そのまま戻っては来なかったルーク
成人の儀の時に戻ってきたのは、ルークの体を得たアッシュだった
ルークが戻ってきたと歓喜した心は、彼だったと知った途端、消えてなくなった。
正直、アッシュなんて、どうでもよかった。
俺を今の俺にしてくれたのは紛れもなくあのルークだし
俺が愛しいと、守りたいと思ったのも
レプリカだと言われ、傷つき、笑っていたルークだけなのだ。
ルークだけが俺を救ってくれたのだ。アッシュじゃ無いのだ。
なのに、戻ってきたのは、俺が憎んで憎んでどうしようも無いルークだったアッシュ。
やはり、彼へと残る俺の中の想いは、蟠りを残していたのに
舞い戻ってきたのが彼であると知って
その体がルークのものであると知って、更に増したのは彼唯一に向けられる憎しみ
ファブレ家ではなく、アッシュ自身に向けられた憎しみだった。
ルークの体を奪い、記憶までも奪い、ルークで在った存在を奪った。
記憶は彼のモノでしかないのに、彼に飲み込まれ、アッシュのものとして構築されていく。
俺が、ルークに忠誠を誓ったあの儀式も、ルークを殺そうとしたあの後の出来事も
何もかもがアッシュの物へと変る。
アッシュのくせに、ルークの体で、ルークの声で、ルークの表情で、笑ったりするから
「ルークが戻ってきた」と勘違いをしてしまいそうになって
そんな自分自身を狂わせてしまいたくなる
ルークが発する、その言葉は誰のものなのか、その体の温もりは一体誰のものなのか。
混乱するのだ。
あの時はルークのおかげで抜かれることの無かった、剣がかちゃりと震える。
この少し、神経質な性格は彼独特のものだ。
この言動も、アッシュのもの
なのに
なのに、彼はルークなのだ
俺の愛したルークなのだ。
その体も、その声も、その微笑も、その
温もりも
思考回路や、考え全てがアッシュなのに、時折見せる言動がルークと被る。
左手で自分の頭を支えたりする仕草がルークとまったく同じで
燻り始めている俺の憎しみも、上手く消えてくれない。
行き場をなくして、消えるはずだったのに・・・
アッシュなのに、ルークを思わせる
ルークなのに、アッシュがそこに居る
ガイと呼ぶ、お前のその声も
ガイと呼んで笑うそのお前の笑顔も
ガイと俺の名前を呼んでは、涙したお前も
俺の中では未だに消えないのに
俺を揺るがせる現実が目の前で踊ってみせるんだ
そして、彼に告げられない
「ルークを還してくれだなんて、言えない・・・・」
だって、彼はルークなのだ。
その体はルークのものなのだ。
俺の剣は未だに、錆びない
俺はこの手でルークを殺せない。それが例え・・・・奴であっても
ガイは、戻ってきたのがアッシュだと知って何を考えてたのかなぁと、いうのでこういったものが出来上がりました。
思考とか何もかもがアッシュであったとしても、その体も声も何もかもがルークのものだから
とても辛い。みたいな。
アッシュへの気持ちとルークへの気持ちはまるで違うし、アッシュ嫌いの気持ちはまだ消えてなかったから
戻ってきたのがアッシュだとわかったら、ガイは更に憎みそうですよ。
殺してやりたいと思うでしょう。
ガイには関係ないんですよ。戻ってきたのはアッシュの意思でなくても(恋は・・・・ならぬ、ガイはルークに、なんですね。)
ルークをを紛れもなく奪ったのは、アッシュだから
でも、その体も、髪の色も声もルークのものだから、例えアッシュであっても手を掛けられない
私の考えはこんな感じでした。