押しては返す波のように
感情も押しては返す、波のようだった。



狂えと誰かが囁いて



そら正常にならないとと、誰かが教える



俺の中に溢れる感情とはそんなもんだった。





「さぁ、この現実をどう楽しもうか」



「さぁ、この苦痛をどうして惑わそうか」




そう誰かが俺を包み込んでくれる

その温もりにただ体を委ねてしまえば、後は、その誰かが俺を動かしてくれた。





突きつけられる視線は針のように俺を刺して
突きつけられた現実は俺を殺す。






何度も俺を殺しては、まだ飽き足らずに。




そして、呟くのだ。誰かが。
俺はその声と共に深く堕ちていく



そうすれば、ほら。とても楽しいんだ。



この色の無い世界が。とても綺麗な色に染まる。

歪みという色に染色された美しい世界に。















「さぁ、誰を殺す。オリジナルか。それとも、お前を裏切った奴等か」



「とても、いい考えだ。そうだな、まずは俺の親友にしようか」



そう、ただ殺す訳ではない。

殺してしまえば、そこらに転がってる奴らと同等になってしまう。



ゆっくりと、ゆっくりと、心を殺して




ゆっくりとゆっくりと、その心にとても重い石を投げ入れてやろう。




俺の存在という石だ。







溶けずに残って、重さを実感せずにはいられない。









「ガイ!!どうしたんだよ。顔色が悪いぞ?大丈夫か?」



「俺、怖いんだ。皆が、俺を・・・・ッ!!」




「赦せないんだ。俺が。どうして、俺は生きているんだ!!」





「仕方ないよ。だって、俺は・・・・恨まれて当然だから」






笑う。
どうだ、ガイ。



お前が俺を欺いたように、俺も今、お前を欺いてるんだ。凄いだろう?


なぁ、褒めてくれないか?

あぁ、そうだった。お前の心はもうすぐ死ぬんだったな。
なら、諦めるよ。


だから、俺が死んでから。




存分に苦しんでくれよな?









そして、次だ。
そうだな。うん、あの偽りの姫にしよう




俺をレプリカだと認識して、俺をルークだと見ていると言うくせにその目は俺を写さずにいる。


その目が追いかけるのはあの男だ。
あぁ、どうしてだ!!俺は今ここに生きているのに。

俺を見てくれない、そんな奴は居なくていいよ。

俺の世界から消えてくれよ。・・・・ていいたい所だけど。

無理だもんな。



なら、これから沢山残るレプリカたちを見て、お前は苦しむといいよ。




「なぁ、レプリカって、どうして生まれたんだろうな・・・」



「別にさ、奪おうとなんてしてなかったんだよ・・・気付いたら俺はそこに居たんだ」



「俺って、ルークなのかな?ルークで居ていいのかな・・・?」





「なぁ、ナタリア。お前は俺の気持ちがわかるだろう?」






哀しい笑みを湛える、その顔の下でほくそ笑む。




さぁ、ナタリア。間違われる気持ちはどうだろう。
あぁ、違う。偽者だと認識される気持ちは如何かな。

辛いだろう?辛いだろう?
お前は偽者の姫だと知ったけれど、それだけなんだよ。
だってさ、お前は結局受け入れられてるんだから。




偽者だとお前にその態度で告げられた俺から言ってやるよ。だって、その方が、苦痛だろう。

偽者だと自分が認めた者に、お前は・・・・哂われるんだから
そう、お前を苦しめる事が出来るのは俺だ。

泣いて詫びればいい。

一生、赦される言葉は掛けられないけれども。














次は誰だろう。

あの嘘吐きが妥当だろうか。



俺を罵って、俺を人殺しだと言ったお前。
でも、さ。お前のせいで人、何人も死んだんだよな。


「俺・・・何人も人を殺したんだ。自分の勝手で、殺した」


「そこに、俺の意思はなかったけど、でもそんなのあの人たちには関係ないんだ」



「人を殺すのに、理由なんていらない。でも、それを誤魔化したりしたらいけないって教えられたんだ」






お前が嘘ついて、その理由を自分の両親守る為だったと言ってたけどさ。
自分のした罪を結局正当なものに摩り替えたいんだよな。
誰もが、お前のした事を責めないっていうのが前提で

「どうして、私を責めないの!?」て言ったけどさ。


誰が、責めるんだろうね。お前を。
そして、俺がそれを責める事が出来たと思うんだろうか。


仕方ないんだって。だからどうしたんだ。あの時イオンがこの世を去ってしまったことが大きくて、誰もお前を責めたりしなかったけど
俺はお前を赦さないよ。

イオンを利用した事だけは絶対に赦したりなんかしない。

イオンを殺したんだ。自分の都合で。
優しいイオンを利用したんだ。
それを、お前が例え嫌がっていたとしても、結局は、実行してしまった。

人質があったとしても、そんなの俺には関係ないさ。
そんなもんだろう?誰もが、自分の大切な人を奪われたら憎むのと同じ。
俺にとって大事でとても大切で唯一の理解者であったイオンをお前は奪ったんだ


だから、さ。俺、お前赦さないから。






覚えていてよ。



アニス。お前は、その罪に縛られて、もがけばいいんだ。

俺のようにね












とても、面白いじゃないか。あんた等が傷ついていく様がいとも簡単に想像が出来てしまう。
それが見れないのがとても残念だけれど。

構わないさ。この世界であんた達が死なない限りは一生縛られるんだから。






















永遠に消えない俺の存在と、自分達だけが生きている事に。













さて、次はを選ぼうか。
どれにしようかな・・・・?なぁ、あんたなら誰を選ぶ?壊すの、とっても楽しいんだ。




















・・・・あれ・・?何これ・・・?いっちゃた?ルークついに飛んだ・・・?
こんなつもりはなかったんですけども、まぁ、こんなルークも私の中では有りということで。
・・・・駄目・・でしょうか・・(汗)