謳う



歌う



彼は想いを乗せて




歌う



詠う




風に、水に、光に、闇に




想いを馳せては




紡ぐ



紡ぐ



彼の声は響く


大地に、空に






響く、紡がれる愛しい声



切なくて



切なくて












「綺麗な、声・・・ですね」
ぼんやりと歌うルークの姿を眺めてイオンが零した


「そうだな。あれがルークの得意なものでもあるんだ・・・滅多に詠わないが」
苦笑しながらも、その歌声を聴けたことに感極まったのかガイの顔は緩んでいる





「ですが、とても、哀しい」イオンは言う。

「・・・あぁ」ガイは短く答えた





何に向けて歌っているのか。歌というものは捧げるものである
なら、彼は誰に向かってこんなにも哀しい旋律を奏で捧げるのか。









「・・・誰かと思えば、ルーク。でしたか」眼鏡のブリッジを押し上げながら呟いたのはジェイドだった。

「とても、儚い歌だわ・・・」瞳に涙をうっすらと浮かべながら言ったのはティアだった








歌は止まない





歌は、止まない







「僕は、この歌を以前も聞いた事があります」
そう零したイオンは続ける。
彼が歌っている姿を偶然見つけたのだそうだ。


「彼は独り歌っていました。空にある音譜帯を見つめて、歌っていました」
確か、あれはアクゼリュスの前だったと思います



イオンは言った。その時も彼はこんなにも哀しそうだったと。












旋律は刻む、彼の音を





余りにも切ない彼の歌声を






想いを乗せて彼は歌う



一体何を思って歌っているか



そして、その歌は誰に捧げているのだろうか










知りたくても、自分たちはそれを問う権限など持たない。











彼は独りで歌っている





謳っている








こんなにも哀しい歌を






ただ、独りで












鎮魂歌を謡う
彼は、謳う


















アニス、ナタリアすんません居ませんでした。
あは、あははは・・・(笑)
女性陣にも、男性陣にも厳しいこのHP
・・・・アビス好きなのにね。どうしたもんだこれ。