剣術を教えようと、ヴァン師匠は言って、俺に練習するときに着るようにと渡してくれた服。
グレーに、赤のラインが入った服
初めての贈り物に俺はとても喜んでいた
それは、俺にとってとても幸せで消えない思い出だった。
ヴァン師匠に要らないと言われても、ただ、その思い出だけは、揺ぎ無いものだった
決して霞まない光だったから、ヴァン師匠に捨てられても
ただそれだけは、間違いじゃなかった筈なのに
ヴァンが造りだした俺と同じレプリカ達が大量に街に溢れだした
そのレプリカたちの纏う服は、俺がヴァンから送られたモノと同じだった
衝撃と言えば衝撃だろう。ただ、何もかもが馬鹿らしくて。
憎くしみしか沸かなかった
あれだけは、消えない綺麗な思い出だったのに。
俺がレプリカでは無いと、何も知らず只のルークで居られた思い出すらも
その光景を目の当たりにして、綺麗だった思い出は塗り替えられた。
一瞬で
あの時から、彼は俺をレプリカのルークだと分けていたのだ。
自分の下にいるオリジナルルークと、偽りの生活をする何も知らない俺を
区別していた
何も知らないで、ただ初めてのプレゼントに喜んで
他の誰でもない、ヴァン師匠から送られたという事が嬉しくてしょうがなかった俺
でも、それは只俺を懐かせる為のもので。俺が気付かない事を哂っていた
その服を着て喜んでいる俺を見ては
そう、哂っていた・・・
「殺して、しまいたい・・・」
俺の思い出を奪った彼を
俺を違うモノだと別けさせたあいつを
それすら知らずに生きていた俺を
世界を恨んだ瞬間
在った筈のもの、それすら俺の手元で偽りだったと告げる。まるで、俺の存在そのもの