赤が散る
真っ赤な赤が。
辺りに散らばる
ふと休憩中に立ち寄った、丘に赤い花が群生していた
その花を見たルークは、ゆっくりその赤に近づいて行くとその中で最も赤い花を、ぐしゃりと握り潰した
その顔は、笑っていた、とても幸せそうに
何を想っていたなんて判らない。
でも、とても幸せそうに、その赤を散らせた。
赤くて長い髪を揺らせて、後ろにいた俺を振り返り告げる
「・・・ガイ。俺は赤でもアカじゃないんだ」
「・・?どう意味だ?ルーク」
俺の返答を全く意にも介していない、ただ、言いたいだけの言葉。
俺はただ、黙ってルークの言葉を聞いた
「俺は、絶対に赤にはなれないんだ。・・・・純粋な赤にはなれない。」
髪の事をいってるのだろうか。それとも、他の違う事にと対してなのか。
到底判断がつかなかった。
ふと、ルークの手を見ると
その花には棘があったらしく、握り潰した拍子に手を傷つけたのだろう
何箇所からかその花を彷彿とさせる血が出ていた。
それに気付いた俺はすぐに手当てをとルークに近づこうとする
それをルークは頭を振り制す
自分から流れる血を哀しそうに見つめて笑い
「こんな赤には俺はなれない」
そう言って、赤を舐めた。
酷く辛そうに、酷く嬉しそうに。
その光景を、俺はただ見つめているしか出来なかった
UNDER THE ROSE
握りつぶした真っ赤な花に口付けの儀式を